この度、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供するH2Aロケットによる平成23年度相乗り小型副衛星の打ち上げに、現在開発中の「高電圧技術実証衛星 鳳龍弐号」が選定されました。
本衛星は電源・通信・データ処理といった衛星の基幹部品(所謂バス機器)並びにミッション機器の一部であるカメラや、それらの動作ソフトウェアは、1号と同じものを使用します。今回2号の打ち上げが決まった事により、2号の開発に専念していくこととなります。2号も1号と共に、「人工衛星を全て学生の手によって作る」という根幹は変わらずに堅持していきたいと考えております。
今回このプロジェクトには、学部生から修士の学生まで総勢22名参加しております。学生一人一人このプロジェクトへの思いは様々ですが、根源にあるものは宇宙開発をやってみたいという強い思いです。
本衛星が搭載する工学ミッション機器は、九州工業大学で取り組んでいる特徴的な宇宙工学研究に関連したものであり、メインミッションとしては高電圧発電技術の実証となっております。この高電圧発電技術については、世界初の300V発電を目指しています。更に1号で計画していた、姉妹校であるサリー大学と共同開発した小型カメラの宇宙実証を行なう予定です。この地球画像は、地域貢献と衛星データ利用のための人材育成プログラムへの利用・配信を計画しています。
今回選定されました2号の最大の特徴は先ほども述べましたが、衛星発電電圧世界一である300V発電です。目標制定の背景としては学生から、「現在の宇宙開発に足跡を残したい」という思いがあっての事です。今後の宇宙利用には高電圧発電技術は必要不可欠であり、300V以上での安定的な発電を世界で初めて確認できれば、宇宙技術に対する大きな貢献となります。発電電圧300Vを実現し、環境試験まで行う事は簡単な事ではありません。なんとしてでも、世界で初めて300V発電を実現してみせるという思いが今の原動力であり、現在も研究・開発に注力する日々が続いております。打ち上げが決定した事によりプロジェクトメンバー一同、日々の成果が出て大きな喜びを感じていると共に、「必ず成功させてみせる!」と意気込んでおります。
今後衛星打ち上げ日が近づくにつれ、開発・試験がより本格化していきます。1号にご支援・ご協力をいただいた皆様に深く感謝いたしますと供に、今後2号へのより一層のご支援・ご協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
2010年10月
九州工業大学 衛星開発プロジェクト 学生一同