データ処理(OBC)

鳳龍弐号のデータ処理に対する設計要求やデータの保存方法、リセット処理について紹介しています。

データ処理に対する設計要求

データ処理(OBC)は、以下のような設計要求があげられます。

  • 放射線による暴走を検知し、リセットできること
  • 収集データをモースル信号に変換すること
  • 衛星の状態をモニタするデータを収集できること
  • カメラの制御を行うこと
  • 各ミッションデータを収集できること
  • ミッション状況を把握できること
  • 地用からのミッション開始コマンドを受信し各ミッションが開始できること
  • 保存されたデータを読み出して送信用フォーマットに変換する
  • 各データをFM信号として送信すること
  • 衛星の異常・故障を判断することができる

これらを達成するために各機器との接続は図1のようになっています。

図1, データ処理のシステム図

データの保存

ミッション系である、『300V系』『ELF系』『Trek系』『Scamp』『デブリ系』は、OBCを構成しているH8からの指示を受けてのみ実行するようになっています。

『300V系』『ELF系』『Trek系』などのアナログ値を計測しているものは、A/Dコンバータによりデジタルデータに直したものをH8が取得し、そのデータをFlashメモリに保存しています。

Flashメモリは、以下のように3つのあり、それぞれデータごとに保存先が決まっており、マルチプレクサを使用することによって、使用するFlashメモリを切り替えています。

図2, 各ミッションでの使用メモリ

Flashメモリ300Vには、300Vミッションデータを保存し、Flashメモリメインには、衛星の状態データやELF、TrekのデータやScampの映像データが保存されます。Flashメモリシェアは、H8 MainからH8 COMにダウンリンクデータを引き渡す際に利用しています。

リセット処理

H8MainとH8COMは、お互いの生存信号を確認することで、暴走検知を行っています。

何らかの理由で、生存信号が確認できなかった場合、リセットをかけるようになっています。

それとは、別に一定の時間ごとにリセットをかける定期リセットと地上局からのアップリンクによる強制リセットもあります。

動作名 発動までの時間 備 考
H8 Main 定期リセット 3時間 H8 COMも同時にリセット
H8 COM 定期リセット 約5時間 H8 Mainも同時にリセット
何らかの理由でH8 Main定期リセットが発動しなかった際の予備
H8 Main 強制リセット① 30分 H8 COM側から生存信号が来なくなってからの時間
H8 Main強制リセット② 10s + 4s×Xパケット数 H8 COMがFM送信を行っている際になるモード
H8 COM 強制リセット① 約15分 H8 Main側から生存信号が来なくなってからの時間 H8 COM自身もリセットをかける
H8 COM 強制リセット② 即時 アップリンクコマンドによる強制リセット H8 COMが正常に作動している必要がある H8 COM Mainともにリセット